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おふろタイムズとは

『おふろタイムズ』は、日々のおふろ時間を豊かにするウェブマガジンです。入浴の質を高め、芯まであたたまるための情報から、日本各地にある温泉や銭湯をめぐるストーリー、松田医薬品の入浴剤へのこだわりまで、さまざまな記事をお届けします。

すっかり年中行事として定着している冬至の「ゆず湯」

ふわっと香るゆずの爽やかな香りに、身も心も癒やされた経験をお持ちの方は多いのではないでしょうか。

ゆずの生産量日本一を誇る高知県に本社を置く松田医薬品によると、ゆずの香りは入浴剤売り場でも特に人気で、もはや年間を通して売れる定番商品になっているのだとか。

今回は松田医薬品の数ある入浴剤の中から、ゆずを使った商品について、生まれ育ちも高知県の松田医薬品製品事業部・細川元広さんに話を聞きました。

松田医薬品のゆずは香り自慢。タイプの異なる2つのゆずを使った入浴剤

松田医薬品の入浴剤で、ゆずの香りの商品を教えてください。

細川:ゆずの香りは、松田医薬品の伝家の宝刀と言ってもよいぐらい自信のある香りなんですよ。数ある香料を試した結果、高知県の四万十町で作られている精油にたどり着きました。ゆずの苦みも感じられるような香りで、とても評判がいいんです。

その香りを存分に楽しんでもらえる、タイプの異なる2つの入浴剤を用意しています。

「松と柚子とろみの湯」

細川:「松と柚子とろみの湯」は、とろっとしたなめらかな肌当たりにまず驚かれると思います。湯上がり後も天然保湿成分などの働きで肌の乾燥を防ぎ、しっとり感が続きますので、乾燥肌の方などに特におすすめです。白濁したお湯でリラックス感も楽しんでいただけると思います。

「刻み草果にバスソルト/柚子&生姜」

細川:「刻み草果にバスソルト/柚子&生姜」の最大の特徴は、海塩とユズ果実、ショウガ根などの刻んだ植物をメッシュ状の袋に入れてある点ですね。果皮が見えるので、見た目も楽しんでもらえると思います。ゆずの果皮は四国産。少しスパイシーなしょうがの香りをバランスよくブレンドしているところもポイントです。お湯に色が付かないので、そこからも天然素材のナチュラル感を感じてもらえたらうれしいですね。

今年の秋に東京の銭湯で変わり湯のイベントをされたそうですね。そこで「刻み草果にバスソルト/柚子&生姜」が大好評だったとか。

細川:「芯境地2024 in TOKYO」と題して、東京の銭湯5施設で10月26日から1ヶ月間、さまざまな入浴剤を楽しんでもらいました。その中で「刻み草果にバスソルト/柚子&生姜」を水風呂に入れてもらったんです。サウナの後や温冷交互浴で水風呂を楽しむ方は多いと思うのですが、ゆずが香る水風呂は新たな体験となったようで、うれしい感想をたくさんいただきました。

色がつかない特性をうまく利用して、入浴剤の可能性を広げてくださったと感謝しています。

水風呂に入浴剤! 新たな楽しみ方として定着するかもしれませんね。

肌の弱い人を悩ます「ゆず湯」のお肌ピリピリ問題。解決するには……

そういえば、「ゆず湯は肌がピリピリする」という声をたまに耳にします。

細川:ゆずの果皮をつまむとピュっと汁が飛びますよね。それが香りの素となる精油成分になるのですが、肌に刺激を与えてしまうんです。肌の弱い方だと、かゆくなったり、赤みが出る原因になります。

一方で、この精油成分が肌を刺激することで血行を促進し、体を温める働きもあるんです。

香りの成分が肌を刺激していたとは意外です。一長一短がある難しい成分なんですね。

細川:そうなんです。そこでゆずを使った入浴剤をつくる際は、肌のダメージを和らげるための保湿成分を配合します。当社では保湿成分のひとつとして、ホホバという植物の種子から抽出される「ホホバ種子油」を使用しています。ベビーオイルや、エステでキャリアオイルに使われる天然オイルなんですよ。

その配合バランスが難しくて、新製品を作る際は温度や時間の条件を決めて社員に実際に試してもらい、肌への影響や香りの感覚をテストしています。

社員さんで人体実験!? 製品開発の裏にそのような苦労があったんですね。

細川:僕自身の体験として、子どもの頃、家のお風呂でゆず湯をした際、姉たちとお風呂でゆずを潰して遊んでいたら、ミミズ腫れのようになってしまったことがありました。入浴剤のテストではそこまでひどくなることはないですが、実際に肌への刺激がどの程度あるかとか、入浴時の感覚などは、生の体験談としてお客様にもお話していますね。

ゆず湯に入る際、注意するポイントはありますか?

まずはお湯の温度をぬるめにしてもらうこと。お湯の温度が高ければ肌への刺激も強くなりますので、ぬるめの38℃~40℃をおすすめしています。寒い冬場は、急激な血圧の上下によるヒートショック現象が起こりやすくなる時期でもありますので、体への負担を少なくするという観点からも、ぬるめのお湯をおすすめします。

それと入浴時間ですね。長く入れば入るほど、肌への負担も大きくなりますので、肌が弱いと自覚されている方は、様子を見ながら入浴していただければと思います。あと、果実を使う場合は潰さないこと。これは体験談です(笑)。

肌の弱い方や、時期を問わずゆず湯を楽しみたい方は、ぜひ先ほど紹介した入浴剤を使ってみてください。

高知県発の入浴剤メーカーとして高知県もあたためたい!

ゆず湯の話を中心にお聞きしましたが、松田医薬品さんの原材料や製品づくりに対するこだわりが垣間見えました。

細川:そう言っていただけるとこちらも嬉しいです。当社にはものづくりに関して3つのこだわりがあるんです。

・医薬品会社として肌にいい商品であること
・香りがいいこと
・よくあたたまる商品であること

今回紹介させてもらったゆずを使った商品は、この3つをうまく表現できているんじゃないかと思います。

今回の取材で高知県がゆずの生産量で日本一と知りました。高知県では身近な食材としても使われているのですか?

細川:「ゆのす(ゆずす)」ってご存知ですか?ゆずの果実を搾った果汁なのですが、高知ではこれをお酢の代わりに使った「田舎ずし」っていうのがあるんですよ。椎茸やミョウガ、タケノコなど主に野菜を握り寿司や巻き寿司にしてあります。これが旨いんです。

高知の郷土料理「田舎ずし」。出典:農林水産省「うちの郷土料理」
高知の郷土料理「田舎ずし」。出典:農林水産省「うちの郷土料理」

細川:母の出身がゆずの産地として有名な馬路村の近くなのですが、特にその辺りはゆのすを強く効かせる地域で、子どもの時は「なんだこれは」と思いましたけど、歳を重ねるにつれ大好きになりました。ゆのすは家に常備してあって、釜揚げシラス丼やぶっかけうどんに掛けたり、いろんな使い方をしてますね。ポン酢もゆずを使った柚子ポン酢が一般的で、私は馬路村のゆずポン酢が一番のお気に入りです。

聞いているだけでいろいろ食べてみたくなりました。入浴剤の話から、高知県への興味が広がりました。

美味しいものだけでなく、高知県には植物資源や、森林資源もたくさんあるんですよ。あまり知られていませんが、漢方薬メーカーの生薬を委託生産している業者さんなんかもあるんですよ。

朝ドラで有名になった高知県出身の植物学者・牧野富太郎先生も、身近に自然豊かな環境があったからこそ、植物に興味をもたれたんじゃないでしょうかね。

当社も高知県に本社を置く入浴剤メーカーなので、なにか高知県らしい県産のものを使った商品を作れないかということはいつも考えています。ちょっと大風呂敷かもしれませんが、元気なお年寄りにも手伝ってもらって、人の手が入らなくなった山林で生薬を栽培することができれば、地元に貢献できてそこに住む人も元気になりますよね。そうやって出来た入浴剤を高知県の温浴施設で使ってもらって、お土産にもしてもらえるようなものが出来れば理想的ですね。

わくわくします。入浴剤で体を温めるだけじゃなく地元高知県も温める計画ですね。楽しみにしています!

取材・執筆:林 宏樹
イラスト:matsuda natsuru

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